Profiel van LEO『旅日記』~バイク一人旅~Foto'sWeblogLijsten Extra Help

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    23 augustus

    甲斐駒ケ岳③

    七丈小屋
     
    15時10分頃に五合目小屋跡に到着。
    <余力があとどれだけあるのだろう。>
     
    これでもか、というくらいに梯子や鎖場が登場するではないか!
    足場を気にしながら片手で鎖を掴み、もう片手で岩を掴む。
    「えい!」と、ほぼ懸垂運動をするかのように岸壁をよじ登る。
     
     
    一つ鎖場をクリアしたかと思えば、次はほぼ垂直にかかる長い梯子。
    しばし足を止め、息を整えて、気力を奮い立たせてから登る。
    そうしないと注意力散漫になって転落してしまうかと思ったからだ。
     
    疲れた体に追撃の手は休むことなく襲い掛かる。
    と言えば大げさかも知れないが、登っている時はそう感じたのだ。
    <一体どうやって登るのだ?>
     
     
    崖を登ってようやく歩く。
    その先に小屋らしき建物が!
    16時40分。七丈小屋に到着。
     
    小屋の中に入って受付を・・・薄暗い室内に先客が3名ほどいた。
    管理人さんが台帳を持ってきて受付を済ませる。
    登山道入口にも掲示があったが、ヘリコプターの荷揚げがないようで食事提供なし。
    素泊まり(寝具つき)で4500円。
     
    僕はこれまでに泊まった山小屋は、八ヶ岳と北アルプスだけで、南アルプスでは初めてだ。
    一昨年泊まった燕山荘は、まるでホテルのような規模に対して、ここは・・・。
     
    静かである。
    室内はストーブが焚かれていて暖かく、ヤカンのお湯は自由に使っても良いようだ。
    外には水場もある。しかも、衛生検査に合格した天然水だ。
    <山に来て、水がタダで手に入るとは・・・>
    北アルプスとの違いに驚いた。
     
    先客のおじさんたちと話をしながら、僕は持ってきたアルファ米を炊いて夕食に。
    アルファ米とは下調理がなされた米で、すぐに炊き上がるという代物。
    登山では非常に重宝する。
     
    ここまでの登りでバテた体に食事は大切なエネルギー補給なのだ。
    食事を楽しむということよりも、むしろ明日のための栄養補給といった意味合いが強い。
    食後は管理人さんがくれたドリップ式コーヒーを飲んで、登山者たちと語らいのひとときを過ごした。
     
    管理人さんは朴訥な印象で、ややとっつきにくい感があったがキノコに詳しいようで、
    マツタケや食べられないキノコなどの話をしてくれた。
     
    登山道の草刈や梯子、鎖の付け替えなどは管理人さんがやっているらしい。
    30年後も使える設備を考えているようで、確かに道中の梯子や鎖はしっかりしているものだった。
    小屋自体も質素ながら清潔で、トイレも綺麗だった。
     
    この日の宿泊者の中で僕が最年少だった。
    登山者は中高年が多いが、今年80歳になるという人がいたことには驚いた。
    <80歳であの登りを上がってきたのか!>
    ここまで登ってきてフラフラになっている自分が情けなく思われた。
     
    黒戸尾根を登ってきて、満足な気分に浸っていた僕にとって
    冷水をかけられたような心境だった。
    僕がここまで登ってこれたのは僕だけの力じゃないんだ。
     
    黒戸尾根ルートを拓いた古の修験者たち。
    登山道を整備している管理人さんたち。
    切り株に「あと15分」と書いて僕に元気を与えてくれた人。
    山小屋に同泊の人たち。
    僕が無事に帰って来るのを待っていてくれる人たち・・・。
    いろいろな人たちの思いに支えられて登っているのだ。
     
    管理人さんが言っていた。
    登山道を歩いて頂上を目指す。それはそれでいい。
    しかし、登山道なんていうのは山のごく一部に過ぎない。
    山の楽しさはそれ以外のところにもたくさんあるのだ。
     
    僕はどれだけ山を楽しんでいるのだろうか・・・。
    頂上に立ったときの達成感、素晴らしい展望、下山後の温泉。
    それも否定はできないが、僕は管理人さんの言う「楽しさ」をまだ知らないように思った。
     
    「外はガスが晴れてきれいに星が見えますよ」
     
    同泊の人の声に、僕も外へ出てみた。
    夜空を見上げると、数え切れないほどの星が瞬いていた。
    天の川が僕を見下ろしている。
    いつまでもこうして眺めていたい夜空だった。
     
    山小屋の夜は早い。
    20時。明日に向かって眠りに着いた。
     
    つづく
     
     
     
    22 augustus

    甲斐駒ケ岳②

    五合目まで
     
    刃渡りを無事に通過した頃から山中にはガスがかかってきた。時刻は14時頃。
    午後になるとガスがかかりやすいと調べた中に書いてあったのを思い出した。
    そんな霧の先に梯子のようなものが見えてきた。
     
     
    まさに梯子である。
    落ちたら洒落にならないので、慎重に登って行く。
    急登のあとの梯子や鎖場は体にこたえる。
    但し、この程度のものはほんの序章に過ぎなかった。
     
    梯子や鎖場を通過して、刀利天狗という社に着いたのが14時20分頃。
    こんな山中に社を建てるとは昔の人は大変だったろうと思った。
    それも駒ケ岳に懸ける信仰心によるものだろう。
     
     
    と同時に、梯子や鎖がしっかりと付けられていることも驚きだった。
    僕のイメージでは黒戸尾根はかつてのメインルートで、今や登る人も少ないルート。
    だから、寂れた道なのではないかと思っていた。
     
    ところが、登山道はきちんと整備されており、熊笹なども刈ってあった。
    登山道で草刈機を見かけたくらいだ。
    道に迷う心配もなく、廃道寸前だと思っていた僕のイメージは一転した。
    しかし、登る人は見かけない。
     
    霧の中を進んでいくと、まもなく五合目のはずだ。
    しかし、登っても登っても着かない。
    樹林帯の中をひたすら登る。
    気分的にもうんざりとしてくる。
     
    <何でこんなきつい思いをして登っているんだ?>
    <これも一種の修行だ。>
     
    僕の中で自問自答が繰り返される。
    誰に登れと言われたわけでもなく、登ったからと言って何かもらえるわけでもない。
    登ったという自己満足に浸るだけの話である。
     
    辛いこと、苦しいことはたくさんある。
    それらを上手くかわして、楽に生きていくこともいい。
    しかし、時には苦しい道、厳しい道も、困難を乗り越えるためには必要なことだろう。
    だから僕はこうして登っているんだ。
     
    道の脇に小さな切り株を見つけた。
    どうやら五合目小屋跡まであと15分という意味だろう。
    ほんの小さなことだが、元気百倍で足が前に出る。
     
     
    五合目小屋跡にたどり着いたのは15時10分頃。
    あたりは霧に包まれて、休んでいると寒くなってくる。
     
    かつて甲斐駒ケ岳へのメインルートであった頃は、登山者も多くて経営も成り立ったのだろう。
    しかし、南アルプス林道が開通し、北沢峠からのルートがメインとなってから変わってしまったのだろう。
    昔はここでどんな人たちが山旅を語り合ったのだろうか。
    まさに、兵どもが夢の跡・・・である。
     
     
    つづく
     
     
     
    21 augustus

    甲斐駒ケ岳①

    黒戸尾根から
     
    僕はタクシーの窓から深い緑の山々を眺めていた。
    <僕が登ろうとしている甲斐駒ケ岳はどの山なんだろうか。>
     
    韮崎駅から約30分(約7千円)で尾白川渓谷駐車場についた。
    皇太子殿下もここから登られたようで、記念碑が建っていた。
    ここから竹宇(ちくう)駒ケ岳神社へ足を進める。
     
    甲斐駒ケ岳は古くから信仰の山として登られてきた。
    麓の駒ケ岳神社には石碑や矛が祀られている。
    神社を通り抜け、森の中へ続く登山道へ僕は一歩足を踏み入れた。
     
     
     
    今回の登山ルートは黒戸尾根から山頂を目指す道で、これは信仰の道でもある。
    僕が黒戸尾根を目指す理由は何だろうか。
     
    まず、修験者たちが登った同じ道を歩くことによって、古人の思いの一端にでも触れられればと思ったから。
    そして、『日本三大急登』の一つに挙げられる黒戸尾根に挑戦してみたいと思ったからだ。
    半月ほど前にNHKで放映された「小さな旅」を見たことも心惹かれる理由の一つだ。
     
    朝10時に出発。
    きついコースだということを肝に銘じて登っていく。
    樹林帯の道は急な登りだが、一歩ずつゆっくりと歩みを進める。
    覚悟を決めて登っているだけに、それほどきつくは感じなかった。
    しかし、それは最初のうちだけだった・・・。
     
    登り始めて約2時間で笹ノ平に到着。
    ここは横手駒ケ岳神社からの登山ルートとの合流地点である。
    ここから八丁登りと呼ばれる長い登りが続く。
    道の傍らには信仰を表す石碑が点在している。
    古人もこの長い登りを歩いてきたのだ。
     
     
    笹ノ平から約1時間40分で、「刃渡り」と呼ばれる難所にたどり着いた。
    切り立った岩の背の部分を通らなくてはならない。
    崖下に滑落したら遭難間違いなしだ。
     
     
     
     
    慎重に渡ってゆく。
    しかし、しっかりとした鎖があるので慎重に通れば問題はなかった。
    これで難所をクリアしたと胸を撫で下ろしたが、本当の意味での難所はこれからだった。
     
    つづく
     
     
     
    06 mei

    鶏冠山

    青梅街道を奥多摩から大菩薩方面へ抜けると、柳沢峠がある。
    この時期は新緑が鮮やかで、バイクで走っていても気持ちがいい。
    峠の茶屋にはライダーたちが一息入れていた。
     
    僕は柳沢峠の駐車場にバイクを停め、ザックを背負い、山へと入っていく。
    他のライダーたちから見ると僕は風変わりなライダーだろう。
     
     
    今回目指す山は、鶏冠山(1,710m)という山で、山梨百名山にも選ばれている山である。
    柳沢峠の標高が1,470mなので、標高差は240m。
    今シーズン初の山行としては、ほどよいトレーニングになるだろう。
     
    それともう一つ、今回は新しい登山靴のデビュー戦であった。
    昨年に購入した登山靴だったが、なかなか山自体に出かける機会がなく、今回に至ってしまったわけだ。
    足慣らしも兼ねての山行がスタートした。
     
    登山道はきちんと整備されており、道幅もあって非常に歩きやすい。
    林道歩きのような感覚で、平坦な道が続く。
    ハイキングコースにもなっていて、初級者でも無理なく山歩きを楽しめるコースだ。
     
     
    あまりにも平坦な、整備された道が続き、物足りなさを感じ始めたころ、横手峠を越えた辺りから山道らしくなってくる。
    一歩ずつ、ゆっくりと歩いて行く。
    時おり、木々の間から覗く青空を見上げてみたり、道端の植物を見たり、歩き急がないことを心がけた。
     
    なぜなら、腰痛・膝痛予防のために。
    以前はスタスタと登っていたが、今回は腰痛対策としての山行でもあるので、無理をせずに登ることにした。
     
    そして、展望のよい場所に着いた。
    この風景を眺めながら、軽食を摂る。
    カレーパンが最高に美味い。
     
     
    鶏冠山神社と書かれた標識に従って歩くと、鶏冠山の山頂だ。
    絶壁の岩場に小さな祠が祀ってある。
     
     
    山頂は狭いので、2~3人でいっぱいになってしまうほど。
    しかし、僕が着いたときは僕だけしかいなかった。
     
    今回はコース自体が歩きやすかったのだが、それにしても登山靴の効果はあった。
    まず、足が疲れにくい。
    平地を歩くときは、登山靴では重いのだが、山道に入るとその効果が発揮される。
    岩や木の根につま先をぶつけても、足にダメージはなかった。
     
    以前の靴(運動靴)では、爪が割れたり、内出血をしたものだった。
    やはり登山をする上で、登山靴はケチってはいけないと実感できた。
    腰も膝も痛くなかったので、今回の山行は成功だ。
     
    次はどんな山の景色が楽しめるだろう。
     
     
     
    18 oktober

    川苔山

    ■滝めぐりの山行■
     
    川苔山(かわのりやま)は標高1,363mの、奥多摩では人気のある山である。
    奥多摩駅付近から分岐する日原(にっぱら)街道を奥へと進む。
    道はだんだん狭くなり、僕の好きな”山奥ムード”を感じさせてくれる。
     
    川乗橋から川乗林道へ入りたいのだが、ここは通年通行止めになっており、
    いつも鉄格子の頑丈なゲートが僕の行く手を阻んでいた。
    仕方がないので、わずかな空きスペースにバイクを停めようとしたところ、
    管理人らしき老人が何やら僕に合図を送ってくる。
    「ここに停めるな!」ってことかな・・・。
     
    ところが、「ここから先は自己責任で・・・」ということで、ゲートを開けてくれるではないか。
    ラッキーなことに、未実走の林道を走れることになった。
    林道とはいっても、舗装林道である。
     
    意外と道は整備されていた。
    何故、いつも通行止めなのかよく分からない。
    それより、何故今日は入れたのか、もっと分からなかった。
     
    細倉橋でバイクを停めて、いよいよ登山道へ。
    一般ハイカーの人たちは、この林道を歩いて登っているので少々申し訳ないような気もした。
     
    登山道は歩きやすく、渓谷美が存分に楽しめる。
    いくつかの滝や渓流の眺めを楽しみながら、歩いて行く。
     
    PICT0037
     
    しかし、この川苔山は遭難が多い。
    転倒・滑落で死亡事故が多発しているのだ。
     
    渓流沿いなので、雨あがりは増水するであろうし、滑りやすくもなる。
    冬場は恐らく道が凍結するであろう。
     
    どういう事情か分からないが、追悼のレリーフがあった。
    昭和53年に18歳の若さで亡くなった人のものだった。
    故人のご冥福を祈りながら、山道を進む。
     
    PICT0041
     
    やがて、ひときわ大きな滝の音が聞こえてくる。
    百尋(ひゃくひろ)の滝だ。
     
    PICT0047
     
    見事な美しさ。
    落差があるのだが、どことなく優しく、女性的な印象を与える滝だと思った。
    山奥に年若くして隠遁した乙女・・・そんな娘はいるわけがない(笑)
    しかし、そんな風に感じた。
     
    百尋の滝のすぐ近くに断崖絶壁がある。
    僕は勝手に”川苔パットレス”と名づけてしまった。
     
    PICT0048
     
    ここまでの道は、大したことのない山道だった。
    ここからが登りの山道になる。
     
    雑木林の中を歩くと、ところどころ紅葉が進んでいるのが分かる。
    足元には落葉。そして、栗も沢山落ちていた。
     
    PICT0049
     
    秋を感じながらの山行は気持ちがよい。
    夏場は暑すぎて大変だろう。この季節がちょうどよいのだと思う。
     
    足毛岩を回るルートで山頂を目指す。
    急登が続き、「これを登りきったら頂上に違いない!」と思いながら、3回もガッカリしてしまった。
    そして、4回目でようやく山頂へ。
     
    PICT0052
     
    山頂は20人位の登山客で賑わっていた。
    12時半頃だったので、ちょうど昼ごはんを食べている人が多かった。
    僕もパンをかじりながら、持ってきたストーブでお湯を沸かす。
    カップスープとコーヒーを入れた。
     
    山で飲むコーヒーは格別な味わいがある。
    それと、温かいものを食べると体が休まる。
    ちょっと荷物にはなるが、山行を引き立てるアイテムであることには違いない。
     
    山頂は広々としており、西斜面からは雲取山(東京都最高峰)方面がよく見える。
    暑くもなく、寒くもなく、非常に心地よく、つい長居をしたくなったが下山を開始する。
     
    PICT0053
     
    紅葉の見頃は11月初旬だろうか。
     
    PICT0057
     
    天気にも恵まれた山行であった。
    下山後は、奥多摩もえぎの湯で一汗ながしたあと、家路についた。
     
     
     
    20 juli

    甲武信ヶ岳

    ■標高差1,375mを行く■
    甲武信ヶ岳(こぶしがたけ・2,475m)は、重みのある山名だと思う。
    歴史好きの僕にとっては、「甲」斐の「武」田「信」玄を連想してしまう。
    しかし、実際は甲斐(山梨県)武蔵(埼玉県)信濃(長野県)のまたがる山で、その頭文字を取ったものだという。
    また、甲武信ヶ岳は荒川・富士川・信濃川の源流がある分水嶺である。
    この山の頂に降った一滴が、それぞれの川となって旅をして行くと考えるとロマンを感じる。
     
    さて、7月の3連休初日。
    「きっと渋滞がひどいに違いない!」と思って家を出たのは早朝5時。
    中央道調布ICから高速道路を使うが、思ったほど渋滞はなく、車は順調に流れていた。
    このところのガソリン価格高騰を反映して、マイカーを使わなくなってきている影響だろうか?
     
    勝沼ICで高速道路を下りて、西沢渓谷を目指す。
    西沢渓谷の駐車場に着いたが、意外とガラガラではないか。
    渓谷の林道をウォーミングアップがてら歩き、いよいよ甲武信ヶ岳の登山口へ。
     
    準備運動をして、笹ヤブの登山道「徳ちゃん新道」へ足を踏み入れた。
    これから訪れる大苦戦など思いもせずに…。
     
    ■きつい登りに大苦戦■
    平坦な山道はあっという間に終わり、そこから厳しい登りが待ち構えていた。
    急斜面をつづら折りに道が続いており、見上げるとまるで崖を登っていくようだ。
    登山地図には「急坂」という文字が並んでいたが、これほど続くとは…。
     
    PICT0002
     
    登山道は深い樹林帯の中を進む。
    夏の直射日光を遮ってくれるのはありがたいが、展望はよくない。
    道の両脇にはシャクナゲが群生しており、シャクナゲの中を進むと言った具合だ。
    満開の時期はきっと見事なのだろう。
     
    PICT0023
     
    それにしても人がいない。
    梅雨明け3連休の初日だというのに、行きですれ違ったのは2人だけだ。
    日本百名山の一つだから、もっと人が多いと思っていた。
     
    急坂を登り始めて2時間。
    ようやく展望が開けるところに出た。
    眼下には広瀬ダムが見える。
    深い原生林の覆われた山塊を眺めながら、しばし休憩。
    カレーパンがこんなに美味いと思ったことはなかった。
     
    道は再び樹林の中へ。
    そして、まだまだ急坂が続いていた…。
    しかし、ここは耐えるしかない。
    息が上がりながらも、登り続けると木賊山(とくさやま・2,468m)へ着いた。
    ここは一等三角点があるだけで、樹林地帯のため展望はない。
     
    途中で足がつりそうになり、エアーサロンパスを噴射。
    登りの途中で足に異常が出るのは、あまり記憶にない。
    それほどの大苦戦だった。
     
    ■山頂へ■
    木賊山からやや下ると(せっかく登ったのに下るのかよ!)見晴らしの良い場所に出た。
    あれが甲武信ヶ岳に違いない!
     
    PICT0010
     
    再び樹林地帯を登り、登山口から約4時間で山頂へ到着。
    青い夏空が広がり、奥秩父連山はもちろんのこと、南アルプスの山並みも見渡せる。
    疲れた体を休め、昼食に。
    そして、昼寝。
     
    PICT0022
     
    このところ仕事で判断ミスが続いた。
    「なぜもっと前もって準備ができなかったのか」「課題に対する焦点がずれたまま作業を進めている」
    上司から指摘された件に関しては理解したが、自分自身のふがいなさに納得が行かなかった。
    負けず嫌いな性格もあるのかも知れない。
     
    「仕事」という名の急坂も登るしかない。
    足が痛くても耐えるしかない。
    山頂を目指すのなら。
    状況によっては、一旦下山して捲土重来を期すこともあるだろう。
    しかし、登る限りにおいては一歩一歩進むしかないのだ。
     
    そんなことを思いながら横になっていたが、ジリジリと夏の日差しが暑い。
    えいっ!と起きて、下山することにした。
    コースタイム5時間のところ4時間で登って来たから下りは…。
    その考えが甘かった…。
     
    ■右膝に抱えた時限爆弾が炸裂!!■
    2,000mを越える山なのだが、涼しさは感じられない。
    樹林帯の中は蒸し暑く、蝿が大量発生していた。
    休んでいても顔の周りに飛んでくるので、まともに休んだ気分になれない。
    まるでオーストラリアのアウトバックだ。
     
    下り始めてまもなく、右膝が痛み出した。
    登りは苦しい急坂の連発だったと言うことは、下りも急坂。
    膝への負担が今後増えることは容易に予想できた。
     
    膝が痛くて苦戦した思い出として、丹沢山系の檜洞丸登山がある。
    あの時は友人のmellow氏とともに下山できたが、今回は僕一人だ。
    膝痛対策として持ってきたサポーターを装着して下ることに。
     
    しかし、思ったより痛みは軽減しない。
    普通に下りることもままならない状況で、まさに時限爆弾が炸裂したようなものだ。
    痛みに耐えながらゆっくりゆっくり下りていく。
     
    ■大失態!道迷い■
    一本道の登山道ならルートから外れることはまずない。
    しかし時折、樹林の中で道が開ける箇所がある。
    本来はテープやペンキを探して、そのルートを通ることになる。
    ところが、足が痛かった僕は足場の良さそうなところを探しながら、下を見て歩いていた。
     
    PICT0029
     
    下の方から人の声がした。
    「あっちの方だな」と思いながら、歩いた。
    最初は踏み跡があったのだが、気がついたら踏み跡はなくなっていた。
     
    「本ルートは右手だろう」と解釈し、そちらへ行こうとするが倒木が邪魔をしていた。
    「じゃあ、少し下った先を回って右手に行こう」
    しかし、そこにも倒木が行く手を阻んでいた。
    「仕方がないな。さらに下ってそこから右に進路をとろう」
     
    その時、はっと気がついた…「何かが違うぞ…」
     
    人の声が聞こえなくなっている。
    辺りは薄暗い樹林帯。
    右方向を見るが、本ルートを示す赤テープなど見えるはずもなかった。
     
    「まずい!非常にまずいぞ!」
     
    遭難理由の第一は道迷いだと言う。
    正規のルートでないので、滑落・転落等の事故に遭い、結果として遭難につながる。
    今来た道を戻ることにした。
     
    何とか本来のルートに戻れた。
    助かった!
    ルートから外れて歩いたのはわずか2,3分のことだったが、わずかな間に道を見失ってしまうものなのだ。
    この時間が遭難につながることもあるのだ。
    やってはならぬ大失態を演じてしまったわけだ。
     
    ■教訓としたい山行■
    蒸し暑い山道だ。おまけに急坂。
    人にあまり会わない理由が少し分かったような気がする。
     
    日は徐々に傾いていく。
    膝痛に耐えながら、遅々として下山は進まない。
    「まだこんな下りが続くのか…」と思いながら歩く。
    これはまさに「修行」だ。
    気分転換のつもりが、思わぬ荒行になったわけだ。
     
    下り始めてから約5時間。
    やっとの思いで、登山口にたどり着いた。
    登りにかかる時間より、下りにかかる時間が長いっていうのは一体どういうことだ?
     
    今回の山行は多くの教訓を与えてくれた。
     
    ①自分の体力に合った山を選ぶべし!
    足が動かなくなってしまっては話にならない。
    他の山で予行演習をしてから、臨んだ方が良かったのではないか。
     
    ②筋力アップを図る。
    膝痛は筋力をアップさせることで対応できる。日頃から筋力アップを意識する。
    今回、サポーターを初めて実戦使用したが、思ったほど痛みの軽減にはつながらなかった。
     
    ③登山ルートの判断
    「~だろう」と思い込みで歩くのは危険すぎる。
    怪しいと思ったら、必ず立ち止まってテープ・ペンキを探して正規のルートを歩く。
    踏み跡だけで判断しない。
     
    無事に下山できたあとは、やはり温泉に入っておきたい。
    今回は源泉掛け流しの鼓川温泉へ。
    ここはぬるぬる感のある温泉で、何度か通ったことがあるお気に入りの温泉だ。
    夕雲を見ながら露天風呂につかる。
    カナカナカナ…と鳴くヒグラシを聞きながら。
     
     
    15 juni

    国師ヶ岳~北奥千丈岳

    甲州と信州の国境線をなす山塊が奥秩父にある。
    甲武信ヶ岳・金峰山・瑞牆山といった日本百名山に名を連ねる頂が群れをなしている。
    この奥秩父連峰ともいうべき山塊の最高峰は、前述の三山ではない。
    北奥千丈岳(2,601m)だ。
     
    まず、中央道勝沼ICから塩山の町を抜けて川上牧丘林道(舗装路)へ。
    山梨県側を登りきったところが大弛峠(2,360m)だ。
    峠に到着したのが9時頃だったが既に駐車場は満車状態。
    路肩に長い駐車の列が出来上がっていた。
    シーズンを迎えた山なので、車で行く人はもっと早い時間帯に着くようにした方がいいだろう。
     
    準備運動をして、いよいよ登山口へ。
    そこで我が目を疑った。
    白い川が流れているかのように残雪が登山道を覆っていた。
    もう6月で、下界は初夏だが、2,000m超の山ではまだ春の季節なのだ。
     
    PICT0006
     
    恐る恐る足を踏み込んでみる。
    意外と踏み固められており、アイゼンはなくても登ることができる。
    ただ、雪解け箇所は泥沼状態なので滑りやすく、また汚れやすい。
     
    木製の階段を登っていく。
    これが結構きつい。
    腰痛に悩まされて、このところ山行はご無沙汰だったせいもあるが階段の登りで息が上がる。
    やがて「夢の庭園」という展望所に着く。
    ここから金峰山の五丈石もよく見え、見晴らしの良い場所だ。
     
    ここから山道をたどることとなる。
    ところどころ残雪が深いが、道自体は全く問題ない。
    ガイド本によると6月上旬からシャクナゲの花が見頃を迎えるとあったが、この日はまだ咲いていなかった。
    しかし、名も知らぬ可憐な白い花が僕を迎えてくれた。
     
    PICT0022
     
    三叉路を左に進む。
    すると国師ヶ岳(2,592m)へ至る。
    やや曇っていたのだが、見晴らしは良い。
    向こうの頂に人影が見えたので、聞いてみるとそれが北奥千丈岳だという。
     
    PICT0014
     
    また三叉路の分岐点まで戻って少し歩くと奥秩父連山の最高峰・北奥千丈岳(2,601m)に着いた。
    森林限界を越えた世界は小鳥のさえずりと、風の流れる音、そしてハイマツの香りが漂う別天地である。
    日常生活では味わうことの出来ない、至福のひととき。
    山の持つ不思議な浄化作用に満たされ、僕は山を下っていった。
     
     
    30 maart

    茅ヶ岳

    東京では桜が満開となった初めての週末。
    暖かさに誘われて久しぶりに山へ出掛けてみることにした。
     
    意外と空いていた中央道を山梨方面へ。
    今回向かった先は茅ヶ岳(1704m)。
    別名「ニセ八ツ」と呼ばれる理由は、その山容だ。
     
    中央道から雪を戴いた八ヶ岳連峰が見える。
    その隣りにまるで八ヶ岳連峰を縮小したような山並みがある。
    それこそ茅ヶ岳なのだ。
     
    韮崎ICを降りて県道27号線をひたすら真っ直ぐ進むと登山口にたどり着く。
    かなり広い駐車場だ。
    先着の車が10数台止まっていた。
     
    駐車場の脇道からしばらく林道歩きとなる。
    緩やかな登りが続き、ウォーミングアップにはちょうど良い林道歩きだ。
    カラマツ林を抜けて、林道が終わるとそこから山道だ。
     
    久しぶりの山行なので、一歩一歩着実に進むよう心がけた。
    特に膝を痛めないよう気をつけて登っていく。
    それほど登りはきつくなかったので順調に進んでいった。
     
    やがて、女岩に着いた。
    女岩というからには男岩もあるのだろうか?
    それにしても、どこが「女」なのか良く分からない。
    僕にはただの崖にしか見えなかったのだが…。
     
    PICT0020
     
    この女岩からが本格的な登りが始まる。
    落葉が踏み跡を隠すかのように覆っている。
    この付近はまさに雑木林だ。
    裸の枝と枝の間から春の日差しが降り注ぐ。
     
    そして岩場を登っていく。
    すると一際大きく富士山の姿が目に入った。
    霞がかっているが美しい富士山は見る者を魅了して止まない。
     
    そして目を移すと奥秩父の山々が見える。
    以前に登った金峰山や瑞牆山もはっきりと分かる。
     
    そんな岩場の片隅に碑が建っていた。
    「深田久弥先生終焉の地」と書いてある。
    深田久弥とは一体誰なのか?
     
    ■深田久弥(ふかだ きゅうや)(1903年~1971年)■
    石川県生まれ。東京帝大哲学科入学。在学中に「新思潮」同人、改造社の編集部員
    となり大学は中退。1930年「オロッコの娘」で認められ、文筆生活に入る。’33年小林
    秀雄らと「文学界」を創刊。’35年「津軽の野づら」を刊行。戦後は、小説から遠ざかり、
    ヒマラヤ研究や山岳紀行に活躍。’64年「日本百名山」で読売文学賞受賞。「山の文学
    全集」(全12巻)がある。(以上、『日本百名山』略歴より)
     
    深田久弥が書いた『日本百名山』が、そのまま日本百名山として世間に認知されている。
    決して標高ベスト100というわけではなく、深田久弥が登って印象が深かった山100選
    ということだ。
     
    百名山めぐり。これもまた山行の楽しみとなり、励みにもなるだろう。
    僕は百名山にこだわりはない。
    あるのは、疲れを吹き飛ばすほどの山頂からの展望、そして下山後の温泉だ。
    これが僕にとっての楽しみなのだ。
     
    さて、碑をあとにして登り続けること少しで山頂に到着。
    霜柱が解けて足元は泥沼状態だったが、展望は文句なしに素晴らしかった。
     
    PICT0026
     
    南アルプスの山並みが、まるで一枚の屏風のようにそそり立っている。
    そして、少し離れたところに八ヶ岳連峰。
    北に目を向ければ奥秩父連山。金峰山の五丈岩が肉眼でも見える。
    南側には雄大な富士山の眺め。
    まさに360度の大パノラマが楽しめる絶景の山頂だった。
     
    PICT0033
     
    深い雪に閉ざされた南アルプスの峰々。
    甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、そして奥に見えるのは北岳。
    古人はあの山々に神が住んでいると信じた事がうなずけるほどの光景だった。
    そして、僕の中では夏山シーズンが待ち遠しく思えるのだった。
     
     
    19 januari

    高水三山

    ■高水三山へ■
    今回訪れた山は、惣岳山(756m)・岩茸石山(793m)・高水山(759m)の縦走コース。
    このコースは、高水三山と呼ばれ、奥多摩ハイキングの入門コースとして人気がある。
     
    人気の理由は何と言ってもアクセスの良さだろう。
    JR青梅線の御嶽(みたけ)駅から出発し、軍畑(いくさばた)駅に戻ってくるというコースだ。
    そして登山道も歩きやすく、眺望にも恵まれているのだ。
     
    普段のようにバイクで行くと、駐車場まで戻ってこなくてはならないが、このコースなら久々に縦走コースが楽しめる。
    それと、ここ最近の寒さでバイクに乗るのも多少億劫になってしまっている…。
     
    JR三鷹駅から「ホリデー快速おくたま号」に乗って、御嶽駅へ。
    約1時間で到着。
    まず、トイレを済ませ、準備運動をして出発!
     
    そういえば、今回が今年初めての山行だ。
    夏山シーズンに向けて、第一歩を踏み出そう。
     
    慈恩寺の脇道が登山道の入口だ。
    道は緩やかな登りで、整備されているので歩きやすい。
    朝の冷たい空気が僕の顔にピーンと突き刺さるのだが、その感触が心地よい。
     
    PICT0003
     
    杉林の間を抜ける道は、薄暗く肌寒い。
    しかし、しばらく歩くと体が温まってきたので、ジャンバーを脱いで登っていく。
     
    1時間くらい歩くと、惣岳山の山頂へ。
    そこには大国主命を祀った青渭(あおい)神社が建っている。
     
    PICT0009
     
    次は岩茸石山を目指す。
    少し下ると急に岩場が出てくる。
    ここがこのコースでの最大の難所(?)だろう。
     
    PICT0013
     
    初心者コースとして定評のある高水三山なのだが、山であることには変わりは無い。
    今は路面凍結しているくらいなので、足元が滑って落ちては困る。
    油断は禁物だ。
    三点確保の原則に則り、ゆっくりと岩場を下る。
     
    すると、木立の間から奥多摩の山並みを楽しむことができた。
    時折、ピューピューと冷たい北風が吹きぬけて行く。
    その分、日向に出れば太陽の暖かさを普段以上に実感できるのだ。
     
    岩茸石山の山頂は開けており、眺望もよい。
    奥多摩・秩父の山並みから、目を転じれば遥か都心を望むことができる。
    しかし、ここも東京都なのだ。(東京都青梅市)
     
    PICT0019
     
    岩茸石山から高水山へ。
    高水山はちょっとしたベンチがあるのだが、眺望はそれほど良くない。
    山を下ると高水山不動尊へ出る。
     
    不動尊と言えばお寺のはずなのだが、狛犬がある。
    ん?狛犬があるのは神社じゃなかったっけ??
     
     PICT0024
     
    ここからは人里を歩いてゆく。
    軍畑駅まであと少しだ。
    山里には蝋梅の花が咲いており、ほのかに甘い香りがした。
    この寒さの中でも、確実に春は近づいているようだ。
     
    PICT0027
     
    12時15分ごろに駅に到着。
    と思いきや、列車が行ってしまった。
    次の列車は…あと30分以上も来ないじゃん!!
     
    駅のベンチで列車が来るまで日向ぼっこ。
    小鳥のさえずりを聞きながら。
     
     
     
     
     
    09 december

    大岳山

    師走に入り、ますます忙しくなる毎日。
    通勤電車から眺める車窓はいつもと何ら変わらない。
    街の明かりが通り過ぎて行ったその時、思った。
     
    「今度の休みには久しぶりに山へ行こう!」
     
    12月の寒い山道をバイクに乗り、たどり着いたのは鋸山林道。
    そして今回登った山は、大岳山(1266m)。
    いわゆる”奥多摩三山”と呼ばれる山の一つである。
     
    鋸山林道の大ダワ峠(994m)にバイクを置き、そこから登山開始だ。
    朝の空気は冷たく、寒さに震えながらのスタートとなった。
     
    しかし10分も歩くと、体全体が温まってくる。
    登山道はしっかり整備されていて、非常に歩きやすい。
    小さなアップダウンを繰り返しながら、尾根道を歩いてゆく。
     
    PICT0004 
    暖かな尾根を歩いていきます。
     
    紅葉はすっかり終わってしまったが、ところどころに赤や黄色が目に留まる。
    足元に目を向けると、どんぐりの実があちこちに散らばっていた。
    なるほど、この辺りは広葉樹の森で、明るい陽光が僕を照らしてくれる。
     
    杉や檜などが植林された山、という印象が強い奥多摩の山ではあるが、自然林も残っている。
    木々の間から奥多摩の山並みが幾重にも折り重なっているように見え、それは一枚の屏風絵のようだった。
     
    奥多摩では人気のある山なのだが、今のところ誰とも会っていない。
    さすがに12月の山はこんなものだろうか?
     
    静寂。
    そして、山の香り、木々の香り。
     
    満員電車の濁った空気とは正反対の、実に清々しい空気だ。
    体がすぅーっと軽くなるような、心地よさを感じる。
    これは森林浴効果なのだろうか?
     
    南の斜面は暖かい木洩れ日に恵まれ、雪を戴く富士山の姿がはっきりと見えた。
    約1時間で大岳山の山頂に到着。
    道は小さなアップダウンが基本だが、山頂付近は少し登りが急である。
    滑りやすい箇所もあるので、道が濡れているときは要注意。
     
    山頂からは南方向の展望がよい。
     
    PICT0007
    富士山の眺めも良し。
     
    さきほど、誰とも会っていないと書いたが、山頂には10数名のハイカーがいた。
    思い思い景色を楽しみながら、一服している。
    僕も持ってきたアンパンをほおばり、12月の青い空を眺めた。
     
    PICT0012
    冬晴れのいい天気。
     
    下山は来た道を戻る。
    バイクで来ると駐車場まで戻らなければならないので、どうしてもピストン登山になってしまう。
    このまま御岳山へと続くコースがあるのだが、今回は断念。
     
    たとえ縦走できなくても、メリットはある。
    それは一度歩いた道だから、危険箇所やペース配分が分かるということ。
    そして、復路であっても視線が違うので、別の景色に出会えることもあるのだ。
     
    PICT0010
    穂がキラキラ輝いていました。
     
    下山後の楽しみと言えば、温泉。
    割と最近できた「秋川渓谷・瀬音の湯」(800円)に行ってみた。
     
    PICT0014
    3時間で800円。ただし、一度退館しても3時間以内だったらもう一度入浴可。
     
    広い敷地の中に、物産館、温泉施設、宿泊施設、さらに足湯まで揃っている。
    風呂は内湯と露天風呂、サウナがあり、露天風呂からは渓谷美を楽しめる。
    肝心のお湯は…意外と(?)いいお湯だった。
     
    少しヌルヌル感があり、ほのかに硫黄臭がする。
    僕のお気に入りの湯「のめこい湯」に似ているような感じだった。
     
    オープンから日が浅いということもあってか、混み合っていたが結構おすすめの湯である。
     
     
    02 september

    北アルプス縦走記⑦

     ■過ぎ行く夏■
     
    燕山荘の前で大きく息をつき、槍ヶ岳を眺める。
    これから下りの樹林地帯に入るので、この山並みは見納めとなる。
    僕は左ひざを気にしながら、下っていくことに。
     
     
    何組かのパーティーが下りている。
    僕たちの方がスピードが速かったので、途中でずいぶん追い抜いていった。
    狭い山道である。
    遅い団体と一緒になってしまうと、先へ行くことすら困難になる。
     
    そして、下りだけではなく、登って来るパーティーもある。
    道を譲り譲られ下って行き、予想よりも早く合戦小屋にたどり着いた。
    燕山荘から下ること30分。
     
    この合戦小屋はスイカが名物のようだ。
    汗をかきながら登って来た登山者には、冷たくて甘いスイカは何よりだろう。
    僕たちは下るだけだったので、思ったよりも元気だった。
     
    スイカは800円もするので、名物ではあるが、今回はパス。
    代わりに僕はネクタリン(300円)を買って食べた。
    登山に果物がこれほど合うとは思いもしなかった。
     
    合戦小屋で小休止のあと、僕たちは一気に下っていった。
    不安だった左ひざが奇跡的にも(?)快調そのものだった。
    そして、2時間ほどで無事に下山できた。
     
    早く下山できたことは、ありがたい。
    しかし、それ以上に無事下山できたことが嬉しかった。
     
    早いタイムで下りたからと言って、それが何になるのか。
    別にレースをしているわけでもなく、単純に山旅を楽しむだけのことだ。
    早く下りて怪我をするより、ゆっくりでも無事に下山できる方がいい。
     
    下山口にある中房温泉で、2日ぶりの入浴。
    汗を流し、露天風呂につかる。
    まさに最高のひとときである。
     
    風呂上りにメロー氏と缶ビールで乾杯。
    これまた至福のひとときである。
    普段、酒を飲むことはないが、こういうときに飲むビールは格別だ。
     
    長いようで、あっという間の3日間。
    僕の夏休みは終わった。
     
    少し寂しい気もした。
    もう少し縦走したいとも思った。
    しかし、楽しみはまた来年にとっておこう。
     
    夏の風が僕たちを送ってくれた。
     
     
     
                                                 完
     
     
     
     
    01 september

    北アルプス縦走記⑥

     ■残念なこと■
     
    早朝4時前。
    メロー氏に起こしてもらい、僕たちは燕山荘の食堂へ向かった。
    それは4時半からの朝食に並ぶためだ。
     
    山小屋では朝食の時間が早い。
    それは早朝に出発する人がいるから。
    燕山荘も朝食は時間帯を4回に分けて提供している。
     
    1回目は4時半。2回目は5時15分。3回目は6時。4回目は6時45分。
    先着順なので、自分たちの都合のいい回を選んで食堂に行けばよい。
     
    僕たちは1回目で食事を済ませてしまおうと思い、4時ごろから食堂前に並んだ。
    さすがに並んでいる人は少なかったが、時間が経つにつれ行列ができた。
    これにも驚いた。
     
    そして、一つ残念な光景を見てしまった。
    それは割り込みをする人がいるということ。
     
    登山客は中高年が多く、人生経験も常識もある大人たちのはずなのだが…。
    割り込んできた人たちに言わせると、「仲間に並んでもらっていた」ということなのだろうが、
    列の後に並んでいる人たちにとってみれば、全く関係のないことだ。
     
    誰と誰が同じ仲間内なのか、なんてことは知るよしもない。
    先着順なので、1回目に漏れた人たちは、さらに45分間も待たなくてはならないのだ。
    早く出発したいのは誰も同じこと。
    自分が割り込んだ(仲間に順番を取ってもらっていたとしても)ことによって、漏れる人がいることを
    考えたことがあるのだろうか?
     
    友人のメロー氏に聞くと、こういう光景はここだけの話ではなく、別の山小屋でもあるそうだ。
    マナーを守って、楽しい山旅にして欲しいものだ。
     
    朝食を済ませたあと、荷物を部屋に置いて、僕たちは空荷で燕岳(つばくろだけ)へ向かった。
    山小屋から片道30分ほど歩くと山頂がある。
    山小屋の前でご来光を迎え、朝日を浴びる燕岳へ足を進めた。
     
     
    花崗岩でできた山は、白い岩が天を指していて印象的だ。
    空荷だとスイスイ登れるのがありがたい。
    そして、誰もいない山頂に到着。
    山頂には2763mの標高が記された碑がある。
     
    そこから槍ヶ岳の雄姿を臨む。
    そして、遠く黒部や立山の方向を見渡す。
    東の空には雲海から昇る朝日が美しい。
    朝から素晴らしい景色を楽しむことができた。
     
     
    そして山小屋への帰途、ライチョウを見かけた。
    岩場の向こうにこげ茶色の鳥がいたが、あれがライチョウだそうだ。
    これまた貴重な鳥を見ることが出来た。
     
     
    7時。
    いよいよ下山である。
    北アルプス3大急登と言われる合戦尾根を下るのだ。
     
    下りとなると膝が心配だ。
    果たして無事に下ることができるのか?
     
                                            つづく
     
     
     
     
     

    北アルプス縦走記⑤

     ■魅惑の稜線歩き■
     
    大天井岳(2922m)から左に折れると、東鎌尾根を通って槍ヶ岳(3180m)へ至る。
    槍ヶ岳の雄姿は登山者の心を惹きつける。
    「行けるものなら一度は行ってみたい」と思わせる魅力がある。
    しかし、槍ヶ岳は上級者向きの難所であると聞いている。
    今回は槍ヶ岳の姿を見ながら、通称”表銀座コース”と呼ばれる尾根を歩き、燕岳(2763m)を目指す。
     
    本日の宿泊地である燕山荘の赤い屋根が、稜線の先に見える。
    しかし、なかなか近づかない。
    急に下ったと思ったら、再び登りがある。
     
     
    ハシゴや鎖もあり、”難所”を思わせる。
    実際は鎖を使わなくても登りきれたが、崖を登るようなものだから油断は禁物だ。
    今日は団体登山者と合流することなく進んでこれたが、もしこんな所で団体と遭遇したら大変だ。
    ハシゴや鎖場では、前の人が登りきるまで待っていなければならないので、時間がかかってしまうからだ。
     
    時計は16時をまわっている。
    恐らく山小屋に到着するのは17時頃だろう。
    疲れた体だが、前へ進む他ない。
     
    歩きながら考えることは、「白いご飯をたらふく食うぞ!」「ビールで乾杯だ!」…。
    食べ物のことばかりだ。
    人間にはさまざまな欲望があるが、第一の欲は食欲なのだろうか?
     
    大下りの頭(2678m)を登りきって、17時頃に無事に燕山荘(えんざんそう)に到着。
    燕山荘は大規模な山小屋で、収容人数は600名という。
    喫茶テラスもあり、山小屋に抱いていたイメージが変わった。
     
     
    夏休み中ということもあって、山小屋は多くの人たちで賑わっていた。
    特に、この日は燕山荘の恒例イベントとしてクラシックコンサートがあるそうだ。
    山小屋でクラシックコンサートとは…これにも驚きだ。
     
    館内は混んでいたが、それでも一人一枚の布団にありつけた。
    荷物を降ろし、一息入れる。
    今日は12時間の歩行だったので、かなり疲れた。
    蝶ヶ岳から燕岳まで一日で行くのは、ちょっと長い行程だった。
     
    夕食はとても良かった。
    おかずとは別にサラダ、肉じゃがが大皿で出てきて、おかわり可。
    僕はご飯を3杯も食べてしまった。
    こんなにご飯を食べるのは久しぶりのことだ。
    学生時代に自転車で日本一周をしたときに、泊まったYHでご飯をおかわりしまくっていたなぁ。
    そんなことを思い出していた。
     
    食後、布団に戻ってメロー氏と缶チューハイで乾杯!
    クラシックコンサートは混み合うのでパスして、飲んで寝ることにしたのだ。
    普段、酒を飲まない僕だが、この時の1缶は美味かった。
    そして、酒に弱い僕はすぐに寝てしまった。
     
                                                        つづく
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    31 augustus

    北アルプス縦走記④

     ■飛んで行きたいのだが■
     
    常念岳(2857m)からの下りも苦戦を強いられた。
    岩場の下りだ。
    浮石に注意しながら降りていく。
     
    下りでは左ひざに痛みが出てきた。
    以前、檜洞丸に登った時ほどの痛みではないが、ひざの裏側が痛いのだ。
    あまり無理して急ぐと、足場を踏み外してかえって危険だ。
     
    まだ先が長いので、かなり慎重に下って行った。
    後を歩いていたメロー氏には迷惑だったかも知れない。
     
     
    下ったと思えば、また登りがある。
    基本的には稜線歩きなのだが、アップダウンは存在する。
    横通岳(2767m)を文字通り、横を通り抜けて歩いて行く。
     
    森林限界を越えた山の稜線歩きは景色が開放的だ。
    しかし、これは晴れているときだけのこと。
    もし、霧で見通しが悪いと道迷いの危険性も出てくる。
    雷雨ともなれば、落雷の危険性もある。
     
    今回はたまたま好天で、素晴らしい風景を楽しめるが、天気によっては地獄に変わる。
    山にはそんな恐ろしさもある、と思った。
     
    しばらく歩いた。
    見晴らしのいい場所で昼食にすることにした。
     
    僕はインスタントラーメンに餅を入れて食べる。
    塩分補給も考えて、スープも飲み干す。
    安っぽい食事だが、絶景を見ながら食べるものは格別の味わいがあるものだ。
     
    山経験が豊富なメロー氏は、いろいろな優れものを持参していた。
    例えば、フルーツ缶。
    果肉のみずみずしさと甘さ。
    疲労回復にはいいと思った。
     
    食事を済ませた僕たちは、またザックを背負って歩き出す。
    今回の縦走ルートの最高峰・大天井岳(おてんしょうたけ)(2922m)まであと少しだ。
    大天荘という山小屋で休憩をして、荷物をそこに置いて大天井岳へ空荷で登る。
    その山小屋から片道10分くらい登るのだ。
     
     
    山頂には小さな祠があった。
    そして眺めもまた格別だ。
    今日の目的地である燕岳(つばくろだけ)が尾根沿いの見える。
    近いように見えるのだが、実際には歩くと2時間以上かかるのだ。
     
     
                                                つづく
     
     
    29 augustus

    北アルプス縦走記③

     ■長い一日■
     
    「満天の星空を満喫するぞ!」と意気込んでいたのに、早々に寝てしまった。
    おかげで夜の天体ショーは見逃してしまったが、その分早起きをして出発に備えた。
     
    朝食は5時半からだったが、それでは出発に遅れをとってしまう。
    そこで経験豊なメロー氏の発案により、朝食を弁当にしてもらうよう前夜のうちに依頼しておいた。
    4時に起きて、荷物をまとめ、食欲もあまりないまま弁当を食べて5時ごろに出発。
     
    あたりは明るくなっていて、歩くのに支障は無かった。
    そして、ご来光。
     
     
    東の山脈からゆっくりと太陽が顔を出す。
    眩しいくらいのオレンジ色が、どんどん昇ってくる。
     
    振り向くと、西にそびえる穂高連峰が昇る朝日を浴びて輝いていた。
    こんなに素晴らしい風景は今までにあっただろうか!
     
     
    ゆっくり眺めていたい。
    写真もたくさん撮っておきたい。
    しかし、今日は長い一日になるのだ。
    僕たちは朝の光を浴びながら、歩みを進めた。
     
    今日の行動予定は次の通りだ。
    蝶ヶ岳(2677m)~常念岳(2857m)~大天井岳(2922m)~燕岳(2763m)。
    2700~2800mクラスの峰々を縦走する魅惑のルートだ。
     
    蝶ヶ岳から尾根伝いに歩いてゆく。
    一見すると平坦そうに思える稜線も、意外とアップダウンがある。
    次に目指す常念岳は見えているのだが、なかなかたどり着かない。
     
    常念岳は日本百名山の一つで、今回のルートの主峰とも言える山である。
    標高で言えば、大天井岳(おてんしょうだけ)が最高峰なのだが、そびえ立つ山容は主峰そのものだ。
     
    この常念岳の登りはきつかった。
    岩場の登りには苦戦した。
     
     
    浮石に注意しながら、時には断崖をカニ歩きで越えてゆく場面もあった。
    今回はいつものトレッキングシューズを履いてきたのだが、つま先を岩にぶつけることが多くて痛い。
    後で見ると、足の親指や小指に内出血が見られた。
    やはり本格的な登山、特に岩場が多い場面では、つま先の硬い登山靴がいいと思う。
     
    そして蝶ヶ岳を出て約4時間。
    9時ごろに常念岳の山頂にたどり着いた。
    ここに着くだけでだいぶヘトヘトになったが、まだまだ先は長い。
    果たして無事に燕岳(つばくろだけ)まで行けるのだろうか。
     
     
    27 augustus

    北アルプス縦走記②

     ■絶景へ■
     
    徳沢の標高は約1500m。
    一方、長塀(ナガベイ)尾根の長塀山は標高2564m。
    一気に標高1000mを登るわけだから、苦しいはずである。
     
    しかし、樹林帯の中なので直射日光が遮られて、いくらか涼しい。
    そして森を抜けると、妖精の池へと出る。
     
     
    緑の草木に囲まれた池は、どこか神秘的であり、そしてかわいらしくもある。
    池の周りは、お花畑となっていて、多くの高山植物が咲いている。
    寝転がって休みたいと思わせるほどの場所だったが、先を急がなければならない。
     
    妖精の池をあとにして、小道を登りきると、そこには絶景が僕らを待っていた。
     
     
    前穂高岳(3090m)、奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3103m)、北穂高岳(3106m)、槍ヶ岳(3180m)…。
    堂々たる3000m級の山並みが目の前に迫ってくる。
     
    こんなに素晴らしい景色と出会ったのは、今までに記憶が無い。
    それほどの感動を与えてくれたのだ。
     
    日本という小さな島国に、これほど凝縮された美があるとは、驚きだ。
    と同時に、日本に生まれて良かったと実感した。
     
    いつまでも見ていたい。
    そして、写真を撮り出したらキリがない。
    そんな風景だ。
     
    僕らの道は蝶ヶ岳(2677m)へ通じている。
     
     
    この日は蝶ヶ岳ヒュッテに宿泊することにした。
     
    ■山小屋泊■
     
    山小屋に泊まるのは久しぶりのことだ。
    以前、天狗岳に登ったときが最初だったから、今回で2回目の山小屋泊ということになる。
     
    受付を済ませ、部屋に案内される。
    部屋は相部屋で、一人一枚の布団が与えられた空間だ。
     
    荷物を置いた僕とメロー氏は、表へ出て絶景を堪能しながら缶ビールで乾杯。
    山小屋でもお金さえ出せばビールが飲めるのだ。
     
    夕食は17時半。
    驚いたのは時間の早さではなく、その内容だ。
     
    まさか山のてっぺんで鰻が食べられるとは思ってもみなかった。
     
     
    登山客同士で食卓を囲む。
    誰かがお茶を注げば、誰かがご飯をよそう。
    自然発生的に役割分担ができ、登山客同士の会話が生まれる。
     
    僕も隣りに座っていた男性と話を始めたが、驚いたことに、その男性もバイク乗りだった。
    しかも、僕と同じジェベルに乗っているということで、温泉や林道の話に華が咲いた。
    これも一つの「縁」であろう。
     
    旅は一期一会。
    登山も山旅なのだから、同じことだ。
     
    食事の後、夕陽を見ようと再び表へ出る。
    風が冷たい。
    下界はうだるような暑さだが、山の上は日が落ちると一気に気温が下がる。
     
    夕陽を見た後、部屋に戻った。
    夜は満天の星空を見ようと張り切っていたのだが、布団に入るとそのまま深い眠りの中へ誘われた…。
     
                                                            つづく
     
     
     
     
     
     
     
    26 augustus

    北アルプス縦走記①

     ■出発■
     
    西新宿のバス発着場は蒸し暑かった。
    23:00発の上高地行きのバスを僕は待っていた。
     
    今回は友人のメロー氏と、夏休みに北アルプス登山に行くことにしていた。
    その山行の計画ルートは…
     
     
    上高地~蝶ヶ岳(泊)~常念岳~大天井岳~燕岳(泊)~下山という2泊3日の山旅だ。
    そのため、深夜バスで上高地に向かった。
     
    日頃、日帰り登山の僕にとって、泊りがけでいく山旅は久しぶりのこと。
    どんな風景が見られるのか、天気はどうだろうか、とワクワクしながらバスに揺られた。
     
    翌朝6時に上高地バスターミナルに到着。
    準備運動をして出発!
     
    上高地は自然散策路になっており、歩きやすい。
    目の前に穂高連峰の山並みが迫ってくる。
     
     
    その景観に圧倒されながらも、これから見られる風景に期待をしながら歩みを進める。
     
    ■蝶ヶ岳へ■
     
    平坦な道は徳沢まで。
    ここから本格的な山道となる。
     
    樹林地帯の中をひたすら登ってゆく。
    肩で息をしながら、時には立ち止まって息を整えながら登る。
     
    天気は絶好の山行日和。
    雲一つない晴天に恵まれ、空の青と山の緑がとても美しい。
     
     
    徳沢から長塀尾根へ一気に登ることになるのだが、それが苦しい。
    長塀山(2565m)へ登りつくと、少しきつさも和らいだ。
     
    そして、高山植物たちが僕たちを迎えてくれる。
     
     
    自然の美しさに心癒され、次の一歩へと足を進めるのだった。
     
                                                つづく
     
     
     
    22 augustus

    富士山

     ■三度目の富士山へ■
     
    僕の夏休み初日は富士山登山へ行くことにした。
    朝5時半に自宅を出発し、中央道を突っ走ること2時間。
    富士山の登山口の一つである須走口(標高2000m)へ到着。
     
    7時半に登山開始。
    最初は樹林地帯の山道を上がっていく。
    以前、高山病に苦しんだ経験から、スローペースを心がけて登る。
     
    やがて樹林地帯を抜けて、砂の道を登ることになる。
    富士山は火山灰が堆積した山なので、砂や礫の上を歩いていく。
    新6合目(2450m)では、かわいい犬が登山者を迎えてくれます。
     
    7合目(3200m)位から、少し頭痛が始まった。
    スローペースと水分補給を心がけてきたのだが、またしても高山病なのか?
     
    次の山小屋はすぐ近くに見える。
    しかし、そこまでなかなかたどり着けないのだ。
    急勾配もさることながら、砂道は歩きにくい。
     
    数メートル歩いては、肩で息をする。
    とにかく、疲労困憊である。
    あまりにも疲れたので、少々横になって休むほどだった。
     
    8合目から先は浅間大社の境内となる。
    9合目の鳥居も見えるのだが、その距離は長い。
     
    なんとか山頂についたのは13時10分。
    登り始めてから5時間半もかかっている。
     
    山頂には山小屋が何軒かあり、観光地の様相を呈している。
    子どもからお年寄りまでが登る観光登山の山なのだ。
     
    山頂のベンチに荷物を置き、持ってきた即席ラーメンを作ることにした。
    ところが風が強くて、コンロの火がすぐに消えてしまう。
    岩場の陰でお湯を沸かすことにした。
    山頂では沸点が高いんだっけ?低いんだっけ?
    文系の僕にはそんなことを考えるよりも、温かいラーメンを食べることで頭の中はいっぱいだった。
     
    疲れた体には温かい食べ物はありがたい。
    塩分補給のために、スープまで全部飲み干してしまった。
     
    さて、これからお鉢巡りだ。
    お鉢巡りとは、富士山の頂上火口をぐるっと一周するコースのこと。
    そこに剣ヶ峰(日本最高所3776m)がある。
     
    剣ヶ峰に行く手前にきつい登りがある。
    それを越え、富士山測候所跡の隣りに日本最高所の碑が建っている。
    そこからはすさまじい噴火口の様子が見える。
    まるで別の星にいるかのような光景だ。
     
     
    そこでベテラン登山者のお兄さんと話をした。
    その人は冬の富士山にも何度か登っているとのこと。
    道はあるんですか?と聞くと、道は無いので、目標物(山など)を目指して登るだけとのこと。
    とても僕には真似のできないことだ。
     
    お鉢巡りコースは約1時間の行程だ。
    そして、いよいよ下山開始。
    時刻はすでに15時半。
     
    下りは写真を撮る余裕などなく、疲れた体に鞭打って歩いた。
    砂道なので砂埃が激しく舞い、防塵マスク持参が望ましいと思った。
     
    下りも、山小屋はすぐ近くに見えるのになかなか着かない。
    だいぶ下りたと思っても、まだ8合目だったりした。
    このままでは日が暮れてしまう。
    麓には富士山の形そのままの陰が映し出されていた。
     
    砂走りと呼ばれる下山道があり、まるでスキーを滑るように山を下りていく。
    堆積した火山灰がゲレンデのようになっている。
    確かにスピードを出せるのだが、勢い余って転ぶと危険である。
     
    富士山登山で危険なものの一つに、転倒がある。
    転倒して、頭を岩に打ち付けて亡くなる人もいるそうだ。
    だから下りを甘く見てはいけない。
     
    ようやく砂走りを終えると、今度は樹林地帯である。
    時刻は18時。もうそろそろ日暮れである。
    ヘッドライトを装着し、樹林地帯へ。
     
    幸いまだ明るさがあったので、ヘッドライトは使わずに済んだ。
    無事に須走口5合目まで下山したのは、18時40分。
    約11時間の山行となった。
     
    須走口の山小屋でコケモモソフトを食べながら、この山行を思い返してみた。
    三度目の富士山ながら、2回目の高山病。
    何より、全身疲労が激しいことが問題だ。
    年齢をとった証拠なのか?
     
    汗と埃にまみれたままでは、気持ちが悪いので温泉に寄って行くことにした。
    以前も訪れたことのある、山中湖温泉・紅富士の湯。
     
    疲れた体に温泉は最高だ。
    このまま、この近くで泊まりたい気分だった。
    湯船で目を閉じると、そのまま眠ってしまいそうだ。
     
    風呂から上がって、何か食べて帰ろうと思ったが、ここで満腹になると間違いなく寝る!
    頭も痛かったので、そのまま山中湖ICから中央道をひた走って帰宅した。
     
    帰宅し、床についたのだが、体が熱くて眠れない。
    頭は痛いし、変な夢(仕事上でのトラブル系)を見るし…熱病にうなされる患者のようだ。
    ちょっと待てよ…これって、オーストラリアで倒れたときと似てないかい??
     
    軽い熱中症だったのかも知れません。
     
     
     
     
    08 juli

    瑞牆山

    難読地名へ
     
    瑞牆山と書いて何と読むのだろう?
    答えは”みずがきやま”。
    山梨県の北部に位置するこの山は日本百名山の一つに挙げられるほどの名山なのだ。
     
     
    標高は2,230m。
    巨大な岩石が天に向かって登るような山容は、奥秩父一の奇峰と言ってもいいだろう。
    去年登った金峰山から眺めた瑞牆山は、僕の興味を引き起こさずにはいられなかった。
     
    先日の腰痛以来、登山は控えてきた。
    しかし、この夏、友人と登山に行く計画がある。
    その山へ行くためのトレーニングも兼ねて、事前に登っておきたい山。
    それが瑞牆山だ。
     
    いつもの如く、早朝の中央道を一路山梨へ。
    須玉ICで高速を降りたあと(調布ICから2,800円)、登山口へ向かった。
    梅雨時だが、今日の予報は曇り。
    時折、薄日も差し込むほどだった。
     
    8:40にいざ出発!
     
    スローペースで…
     
    以前は登りのスピードに自信があった。
    しかし、先日の腰痛があったので、その作戦を改めることにした。
    今日ははやる気持ちを抑えて、ゆっくりと登ることに徹した。
    腰と膝への負担を少なくすべく、歩幅も狭めて、ゆっくりと足を出す。
     
    登山口からミズナラの森を抜けて歩いて行くと、富士見平小屋に到着する(9:10)。
    ここからが岩場の連続で、しかも急な登りが続く。
    特に天鳥川を越えた辺りから、本格的な岩場の登りとなる。
     
    久しぶりの登山だったからだろうか。
    ペースを上げようにも自然とスローペースになっていく。
    大きな一枚岩を登るときには、足元にひっかかりがないので登りづらい。
    しかも、水で濡れていて滑りやすかった。
     
    ロープやハシゴが設置されている箇所が随所に見られた。
    それだけ登るのに難儀な箇所なのだろう。
     
    あいにくの頂上
     
    普段よりも時間がかかったが、無事に瑞牆山の山頂に到着(11:00)。
    シャクナゲの花はほとんど落ちてしまっていたが、いくつかの花がまだ残っていた。
     
    頂上は岩の突起の上にいるような感じで、高所恐怖症の人にはつらいかも知れない。
    足がすくむほどの断崖になっているのだ。
    今日はガスがかかっていて、あいにく眺望は良くなかったが、晴れていたら足がすくんだことだろう。
     
    山頂で昼飯にした。
    ガスを持ってきたので、特製たまご雑炊を作った。
    疲れた体に温かい食べ物はありがたい。
     
    食後は温かい紅茶で、一息ついた。
    あとは山を下るだけだ。
    12:00に山頂を出発。
     
    下りで一番心配だったのが、膝だ。
    檜洞丸に登った帰りに、突然の膝痛に悩まされた苦い経験がある。
     
    幸い今日は痛みも無く、無事に下山(13:30)。
    何より腰・膝に故障なく登れたことが嬉しい。
    曇っていて景色が楽しめなかったのは残念だったが、梅雨時だから仕方がないだろう。
     
    下山後、増富ラジウム温泉”増富の湯”(700円)で汗を流すことにした。
     
    ところが、ここの温泉は期待外れに終わった。
    まず、内装がプールみたいな雰囲気で、温泉らしい雰囲気が感じられなかったこと。
    そして、大浴場の湯は水道水を加熱したもので、塩素臭が鼻に付き、まさにプールだった。
     
    源泉かけ流しは冷泉のみで、浴槽も狭いのでのんびりつかることができなかった。
    冷泉だから長時間つかりやすく、人の入れ替えが少ないので、浴槽が空かないと言った方が正確かも知れない。
     
    汗を流した後、高速道路を使って東京へ。
    久しぶりの登山は心地よい疲れだった。
     
    *フォトアルバムに写真を掲載しておきます。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    27 mei

    檜洞丸

    初の丹沢山系へ
     
    土曜日の朝5時半。小田急線新宿駅。
    すがすがしい朝とはかけ離れた、酔客たちのどんよりとした、よどんだ空気が車内を覆っていた。
    僕は座れるものと思っていたのだが、町田あたりまで立ちっぱなしになってしまった。
     
    この日、僕は友人のメロー氏と一緒に丹沢山系の檜洞丸(1600m)へ登るのだった。
    朝4時起床、小田急線新松田駅に7時集合という、酔客たちとは正反対の”朝型行動”だ。
     
    檜洞丸と書いて”ひのきぼらまる”と読む。
    山の名前とは思えない感じだ。
     
    7時に新松田駅に着くとメロー氏と合流。
    バス乗り場はすでに登山客の列ができていた。
    西丹沢自然公園行きの切符を買い、バスに乗り込む。
    登山客が多く増便バスが用意された。
     
    バスに乗ること約1時間。
    登山口である西丹沢自然公園に到着。
    準備運動をして、入山届けを出していよいよ出発だ。
     
    山の大渋滞
     
    山の静けさと森林の香りを楽しみながら…と行きたかったところだが、思わぬ渋滞に巻き込まれた。
    それは、登山者の渋滞だった。
    多くの登山者を迎える丹沢山系。
    特に山つつじの季節とあって、訪れる人も多い。
     
    中高年ハイカーの列は、僕にとってみると遅々として進まない。
    自分のペースで歩くことができず、調子が上がってこない。
    おまけに、登山道の真ん中で立ち止まって写真撮影を始める人もいて、後続が詰まって大渋滞が発生。
    もう少し周囲の人たちに気を配る登山者でなければ、それは単なる観光客だ。
     
    山道は整備が行き届いており、それほどきつい登りもない。
    所々に鎖場もあるが、別に鎖を使わなくても登ることができる。
     
    山頂近くになると木道が出現する。
    尾瀬のように、周囲の植物に考慮したためだろう。
    しかし、これが歩きにくい。歩幅が合わずに歩きにくいのだ。
     
    大渋滞、人の多さ、ペースが乱れるなどの影響で、ややストレスを感じる山行だった。
    それはともかく、12時頃に山頂に到着。
    木々が生い茂っているので、あまり展望はよくない。
     
    地味な山頂です…(^^;
     
    山頂でメロー氏と昼食。
    彼はちゃんとコンロを持ってきており、しかもドリップ式コーヒーまで持参するという用意の良さ。
    コーヒーをご馳走になってしまった。
    疲れた体に温かい飲み物はありがたい。
     
    まさかの失速…
     
    さて、あとは山を下るだけだ。
    帰りは中川温泉の方面へ抜けるよう、箒沢へ下山するコースをとった。
    ところが、ここで異変が発生。
     
    右ひざ痛が出てきたのだ。
    今までの山行でひざが痛くなることは無かったのだが、どういうわけか故障発生である。
    登りでは全く異変は無かったのだが。
     
    スプレー式の消炎剤を使ったが、痛いものは痛い。
    しまいには足を引きずるような格好になってしまい、痛みをこらえながらの下山となった。
    当然、予想時間よりも遅れてしまい、まさかの失速である。
     
    先週は出勤だったので山行はしていなかったが、先々週は笠取山に行って全く異常はなかった。
    また、山行に備えてジムで運動をしていたつもりだったのだが。
    山のトラブルは標高に関係なく発生するものだと思った。
     
    今回はひざ痛のみであったが、もし、ひざ痛から体勢を崩して転倒・骨折でもしてしまったら…。
    また、痛みをこらえて歩くものだから、注意力が散漫になってしまう。
    そこでもし、道を間違えても気づかなかったら…。
     
    「丹沢程度の山だから」「低山だから」「人がいっぱい登りに行くような山だから」
    そういう油断は禁物だ。
    たとえ低山であっても、山中で動けなくなってしまったら、それは”山岳事故”なのだ。
     
    最近、いろんな山に登りに行くようになった僕に対する警鐘かも知れない。
     
    乾杯!
     
    下りは登りよりも時間がかかってしまい、15時半頃に箒沢へ何とか下山。
    メロー氏推薦の温泉へ向かった。
     
    中川温泉郷は武田信玄の隠し湯と伝えられる温泉郷だ。
    その中でも老舗旅館である信玄館の湯へ行ってみた。
     
    入浴料は1000円だが、実に素晴らしい湯だった。
    登山客で混みあっているかと思いきや、意外と人は少なく、落ち着いてのんびりとつかることができた。
    さすが、メロー氏推薦の湯だけはある。
     
    風呂上りにメロー氏と缶ビールで乾杯だ。
    普段はバイクの運転があるので、飲酒はできないが、今日は電車バスで来ているので、それも可能だ。
    日頃は酒を飲まない僕だが、この缶ビールは実に美味しかった。
    山行の後、温泉からあがってから飲むビールは至福のときであった。
     
    普段は飲まない僕も、このときは美味いと思ったビール!
     
    反省点は…
     
    僕の思わぬ故障発生により、すっかり夕方になってしまったので、メロー氏と夕食をすることにした。
    新松田から小田原へ出て、小田原で海鮮料理に舌鼓を打った。
    海に近いので、魚が美味い。
     
    そして、小田原駅で解散。
    僕は小田急線で新宿まで、ロマンスカーに乗って帰った。
     
    今回の山行は、山でのトラブルを経験できた。
    天気よし、体調よし、それでも思いがけない右ひざ痛に苦しんだ。
    油断は禁物であると同時に、トラブル防止の対策、対処法も考えておかないといけないだろう。
     
    新緑が美しい!
     
    *写真はフォトアルバムに掲載しました。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    *